平成16年の文化財保護法改正により生まれた新しい文化財のジャンルである文化的景観は、全国的にはどちらかといえば第一次産業により形成された景観の評価を中心に進められ、都市的な景観についてはまだまだ遅れている状況です。
本報告書は、平成22~25年度にかけて、鴨東の岡崎の地を対象として、都市的な景観をどのように捉えるかについて調査・検討した報告書です。
現在、美術館や動物園、またホールなど、数々の文化施設が集中する岡崎は、明治に開削された琵琶湖疏水がもたらした、近代京都の象徴的な場所です。疏水は運輸だけでなく、豊かな水を利用した工業を促進するとともに、流れる水を利用した近代庭園群の創出に欠かせないものでした。
都市は多様な価値が重なり合う場であり、ゆえにその文化的景観の把握は大変難しいものとなります。調査検討の結果、「京都岡崎の文化的景観」の特徴は、<都市における「景勝ヒンターランド」>と捉えられると規定しました。是非、一度ご覧下さい。
また、本報告書によって明らかにされた、京都岡崎の文化的景観の価値を、どのように守っていくのか、また守っていけばよいのかという議論・検討の成果をまとめたものが保存管理計画書です。本書は書籍としては刊行されていませんので、広く一般に公開するのはこのWEBページが初めてのことです。